[翻訳] Bluetooth ClassicとBluetooth Low Energyの違いとは?

Ryan Ratner
Ryan Ratner
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技術紹介をしていてよく聞かれる質問として「DittoはBluetoothを使っているんですか?」というものがあります。シンプルな答えとしては「Yes」ですが、もう少し詳しく、Dittoが利用しいるBluetoothの種類について解説する必要があると思います。

最近のデバイスには「Bluetooth Low Energy」と「Bluetooth Classic」の2種類のBluetoothプロトコルを扱うチップが搭載されています。 どちらもBluetoothという名前ですが特性はかなり違います。

スマートフォンにイヤホンをペアリングする、という言い方には馴染みがあるでしょう。これはBluetooth Classicです。

デバイスを他のデバイスとペアリングした経験がある方は、Bluetooth Classicを使ったことがあると言えます。

Dittoが使っているのは 「Bluetooth Low Energy」 ですが、あまり聞き馴染みがないかもしれません。 ここからはBluetooth Classicを「BT Classic」、Bluetooth Low Energyを「BLE」と呼び、詳細を解説していきます。

Bluetooth Classic

BT Classicは、スマートフォンにオーディオデバイスをペアリングする用途で一番よく知られています。

AppleがiPhone 7を発売した際にヘッドホンジャックが無くなり、Bluetoothがより必要不可欠なものになりました。 Pixel 4や最新のサムスンの端末のように、Android端末でもヘッドホンジャックが無くなりつつあります。

2つの端末をBT Classicで接続できることは多くの方がご存知だと思います。ユーザーは設定画面を開き、手動でペアリングするデバイスを選ぶ必要があります。

ここではワイヤレスヘッドホンを例にします。スマートフォンのBluetoothの設定画面を開き、その次にペアリングする端末を「ペアリングモード」にします。数秒後、画面にその端末が表示されます。端末を選択し、ペアリングの処理が完了するのを待ちます。

ここまでの裏側で、何が起きているかを見ていきましょう。理解することで、BT ClassicとBLEの違いが分かるようになることでしょう。

まず最初のステップとして、「クライアント」端末と「サーバー」端末をBluetoothで接続し、ピコネットを作成します。 ピコネットとはワイヤレスBluetooth接続によって作られた小さなネットワークのことを言います。

ほとんどの場合、スマートフォン側がクライアントで、端末側(イヤホン)がサーバーです。

これらのデバイスが接続を開始する前に、お互いを 「ディスカバー」 する必要があります。 サーバー端末は接続可能なことをアドバタイズ(周知)します。ここでいうアドバタイズとは、クライアント端末を見つけるまで定期的に小さいデータのパケットを送信し続けることを言います。

この間、クライアント端末(スマートフォン)はスキャン、受信、アドバタイズパケットの処理を行い、目的の端末を探します。 接続可能な端末がスマートフォンの設定画面に表示され、ユーザーは手動で選択したり無視することができます。

BT Classicを利用するたびにこのプロセスが必要となりますが、ほとんどのデバイスはペアリング済みのものを自動再接続してくれます。 一般的に、サーバー端末は手動でペアリングモードに切り替える必要があります。これが必要なのはサーバーが別のピコネットにいる可能性があり、自動で新しいクライアントへ切り替えられないからです。

例として、他の人のスマートフォンとすでに接続されたBluetoothスピーカーにあなたのスマートフォンをペアリングしようとしていると想像してください。 ピコネットは複数のサーバーを持つことができますが(一般的に7つまで)、クライアントは1つのみです。

サーバー同士は直接通信できず、クライアントを通して通信できます。この制限によってBT Classicは柔軟な通信が不可能となっています。

ここまでペアリングについて見てきたので、BT Classicの特徴についても見ていきましょう。

BT Classicは最大3Mbpsまでデータをストリームできるため、オーディオデータをストリーミングしたり、ファイルデータを扱うのに向いています。 これによってBT Classicはワイヤレスヘッドセット、キーボード、プリンター、スピーカー、ファイル転送などと相性が良いです。

BT ClassicがBLEよりも、大きくよりリッチなデータをやり取りできる一方で、接続数や同期できる距離(約20m)がBLEよりもかなり少なく/短くなります。

そして、BT Classicはデータの送信や受信にBLEよりも多くのエネルギーを消費します。 これは私たちのお客様のような、バッテリーの持続時間が重要な多くのユースケースにおいて問題となることでしょう。

Bluetooth Low Energy

なぜBluetooth Low Energyを使うのか

IoTデバイスの普及により、BT Classicに代わるプロトコルが必要となりました。 IoTデバイスには小さなバッテリーしか搭載されていないことが多かったり、BT Classicのペアリング操作がスクリーンなどが備わっていないことが多いことがその理由です。

IoTデバイスの多くは「常にON」である必要があり、数日、数ヶ月、数年の間動作し続けます。 スマートウォッチやフィットネストラッカー、医療機器、スマートロック、スマートライトなどには小さなバッテリーしか搭載されておらず、少ないエネルギーで高速にデータをやり取りできる必要がありました。 そしてこれらのデバイスの多くが、スクリーンやキーボード、あるいはボタンなどが無いことがありペアリングすることが不可能です。

そのため、Bluetoothの海外標準化団体であるBluetooth Special Interest Group(SIG)は、消費電力に関するBluetoothの性能を向上させ、デバイス間の接続をよりプログラム的に行えるようにすることを目指しました。

それは連続的なデータのストリーミングを必要とせず、エネルギー消費量が極めて少ないバージョンのBluetoothを作成することでした。

例えば BT Classicでスマートライトを接続しようとした場合、クライアントに発見されるまで連続的にアドバタイズし続ける必要があります。 これはエネルギー消費が大きすぎバッテリー節約にならないでしょう。

一方BLEは、接続されるまで「スリープ状態」にすることができます。 そして何よりも、手動のペアリングやデバイスの切り替えが全く必要ありません。

BLEの用語はBT Classicと似ていますが少し違い、 「セントラル」 (クライアントのようなもの)と 「ペリフェラル」 (サーバーのようなもの)と呼ばれます。

ペリフェラルの例としては、スマートウォッチやスマート温度計、センサーなどが挙げられます。 セントラルの例としては、スマートフォンやGoogle Homeデバイスなどが挙げられるでしょう。

セントラルは通常、ペリフェラルからの情報を受け取る側となります。

注意: 最近のほとんどのデバイスは、セントラルとペリフェラルの「両方」の動作が可能です。

センターとペリフェラルがどのように作用するかについてのより詳細な技術的考察は、Tim Oliver氏のブログ記事"[翻訳] 初めてのCore Bluetooth"に記載されています。

最大の違いとしてペリフェラルはほとんどの時間、省電力モードとして接続を待機しています。 接続しようとする時だけペリフェラルはセントラルとの接続が開始されるまで、1秒間に約1~20回、小さなデータパケットをアドバタイズします。

これにより、ペリフェラルが起きていなければならない時間を減らすことができ、BT Classicと比較してバッテリーの寿命が大幅に延びます。

BLEはもともと、IoTやエネルギー消費の問題に対処するために特別に作られたものですが、BLEはデスクトップ、タブレット、スマートフォンなどの従来のデバイスにも大きく広がっています。

BLEの実装の大部分は、最大2Mbpsに制限されています。しかし、これは実際にはかなり異なることに注意する必要があります。 Dittoの社内テストでは、ほとんどのデバイスが平均40Kbpsを達成しており、私たちが求めるデータ同期を実現するには十分です。

BLEはバッテリーの持ちには優れていますが、高品質の画像や動画、大容量のファイルを送信するには非常に不向きです。 しかし、ファイルサイズが小さくなれば、BLEはより遠くへ、より速いスピードでデータを送ることができます。

また、BLEは、1対多のセントラルとペリフェラルの接続が可能です。 BT Classicと異なり、ペリフェラルは同時に多くのセントラルとの接続を維持することができます。

図のように、1台のスマートフォン(ここではペリフェラルとして機能)が、さまざまなセントラルに接続できます。

例えば、航空業界のユースケースでは、1人の乗客のスマートフォンが、BT Classicのような単一のデバイスだけでなく、複数の客室乗務員のiPadに接続することができます。

Bluetooth 5

2016年のBluetooth 5の導入に伴い、SIGはBLEの機能セットとパフォーマンスを大幅に改善しました。

Bluetooth Classicはほとんど手が加えられませんでした。大きな改善点の一つは、BLEの通信速度です。

データ通信速度が速くなると端末がアクティブである時間が短くなり、データ交換の速度が速くなることでユーザー体験が向上するだけでなく、デバイスがスリープ状態になる時間が短くなるため、バッテリー消費量もさらに減少します。

さらに、デバイスはより長い距離(100m以上)でデータを同期することができます。これは前述のBT Classicの20mとは大きな違いです。

これは、医療、航空、石油・ガスなど多くのユースケースで非常に重要です。 顧客と従業員(医師、客室乗務員など)の間でデータをほぼ瞬時に交換できるだけでなく、データをはるかに広い範囲で交換することができます。

例えば、飛行機を操縦するパイロットから、飛行機の端にいる客室乗務員のiPadに重要な情報やサービスリクエストを更新することができます。

また倉庫や油田など、Wi-Fiや携帯電話の接続がない場所や直接顔を合わせることができない作業中でも、作業員が自分のデバイスを同期させ、在庫などの一貫性を保つことができます。

さらに、BLEデバイスは距離を判定するため、作業者のデバイスが数分、1時間、あるいは数日の間電波の届かないところにあっても、再び電波の届くところに来れば、Ditto BLEを使ってデータを同期することができます。

これらの機能により、Wi-Fiの導入や携帯電話の接続が不可能な状況でも、時間とコストを節約し、日常のプロセスをより効率的にすることができます。

ユースケースの詳細については、弊社Webサイトのソリューションページをご覧ください。

特徴 Bluetooth Classic Bluetooth Low Energy
電力消費 1 ワット 0.01 - 0.5 ワット
ストリーム速度 3 Mbps 1 Mbps
範囲 20 メートル 100 メートル以上
ペアリングの必要性 必須 無し
転送の最小速度 100 ms 3 ms
コミュニケーション 1 対 1 1 対 他

DittoのBluetoothについて

DittoがBluetooth Low energyを採用しているのは、Bluetooth Classicに比べてエネルギー消費量が極めて少なく、接続・同期距離が圧倒的に長いためです。

さらに、デスクレスのユースケースでは、ユーザーが手動で時間のかかるペアリングを行わずに同期や接続ができることが求められます。

また当社のほとんどのユースケースでは、ユーザーが多対多のネットワークで同期する必要があります。 (Dittoはメッシュネットワークにより多対多のネットワークが可能)

これらの理由から、私たちはBluetooth Classicではなく、Bluetooth Low Energyに注力することにしました。

ソース